<2020春夏号・特集>ママなら知っておきたい食物アレルギー!

イタバシーナvol.12(2020春夏号)では「ママなら知っておきたい食物アレルギー!」と題してアレルギーについて特集しました。
誌面でアレルギー体験を教えてくれたママにさらに詳しく話を伺いました。

<インタビュー>“アレっ子ママ”に聞きました!

9歳の娘さんと5歳の息子さんを育てる加藤良子さん。息子さんが重度の食物アレルギーをお持ちです。
ご自身は花粉症もないほどアレルギーとは無縁だったということで、未知の世界に飛び込むこととなった良子さん。
今回のインタビューでは、“アレっ子ママ”としてどのような苦労を乗り越えてきたのか、そして今どのようにアレルギーと向き合っているのか伺いました。
(取材日:2020年2月27日)

 ―どのようにしてアレルギーがあるとわかったのですか?
息子は、夫の転勤でアメリカに住んでいたときに生まれました。
生後1か月くらいで乳児湿疹の兆候があって、6か月のときに皮膚科で皮膚検査をしたら、牛乳とエビと大豆にアレルギー反応が出たんです。
そのときは母乳しかあげていなかったので、私が食べたものが原因だということがわかってすごくショックでした。

―具体的にはどんなアレルギーがあったのですか?
1歳のときに血液検査をしたら、小麦と卵と大豆と乳とエビとピーナッツとゴマが一番症状の重い「クラス6」、魚やイカ、タコ、貝、ナッツ類が「クラス2~3」という結果。
食べられるものがあまりに少なくてどうしたらいいのかまったくわかりませんでした。
アメリカの病院は「数値として反応があるものはすべて除去する」という考え方だったので、いつか食べられるようになるのか、治療ができるのか何もわからなくて不安な日々。
とりあえず米と野菜と鶏肉を食べさせていましたね。

アレルギーだとわかってから何をしましたか?
まずは、母乳に出ないように私自身の食生活を見直しました。
夫も上の子も自宅では和食を食べさせたくて豆腐と油揚げが入った味噌汁などを食卓に並べていて「これ全部ダメじゃん!」って。
でも私の栄養バランスを考えながら食材を選びました。それから、調理器具を見直したり食器を増やしたりしました。
たとえば、娘のお弁当用の卵焼きを作るときの卵をとくお皿と菜箸を決めて、息子の離乳食を作るものを分けるとか。
洗えば問題ないのですが、間違いが起こらないように朝食のプレートも娘と息子のものは色分けしました。
あとは、買い物の仕方が変わりましたね。商品を手に取ったら原材料をきちんと読む。
その表示だけはめちゃめちゃ英語を読むのが速くなりましたよ(笑)
「工場で●●を使っています」というところまでスラスラ読めるようになりました。

―これまで大変だったことは?
3歳9か月で帰国しましたが、幼稚園探しが本当に大変でした。
見学はしたものの、息子のアレルギーのレベルが高すぎて結局入園を断られることも。
息子はアレルギーの発作が起きたときに救急車が来るまで持たせるためのエピペンという自己注射を持っているのですが、講習を受けている先生はいるけど対応しきれないとか、給食だから一人だけお弁当は困るとか、お泊り保育はどうするのかとか、いろいろなことを確認されました。
結局見学したのは6園。今通っている幼稚園は、誰でも受け入れる方針で、私が見学した幼稚園では唯一、「生活管理指導表」がありました。
これは保育園と学校では、アレルギー疾患のある子どもが年に一回提出することが徹底されているもので、病院で書いてもらいます。
調理実習は指導が必要など、生活する上で配慮が必要なことを細かく幼稚園の先生と共有できるのは安心ですよね。

―アレルギーの話ができるママ友はいますか?
うちの息子と同じレベルでアレルギーの話ができる人はインスタグラムでのつながりだけです。
2019年5月から「@issyonitabeyo」というアカウントを始めて、そこでたくさんの仲間に出会いました。
インスタグラムは、病院の先生から「写真で記録しておくと、幼稚園で何か起きたときに食べたものを把握できていいですよ」と勧められて、なんとなくお弁当の写真を撮るようになったのがきっかけです。
お弁当以外にも手作りのお菓子やパンだったり、「食べられたよ!」という商品に出会ったときは裏面の原材料の文字を撮ったり。全然インスタ映えしませんけどね(笑)
重度のアレっ子ママとつながって、いろいろな情報交換ができるようになりました。

丁寧に作られたお弁当やパン、スイーツは、とってもおいしそう!

このサンドイッチ弁当は、なんと米粉100%のパンを作るところから。手間暇かけてる~!

ご自身が変わったことはありますか?
アレルギーに対する考え方が変わりました。体が少しかゆくなる程度なら仕方ないと思えるようになったんですよね。
それよりも食べたことのないものにチャレンジしてもらいたいという気持ちのほうが強くなってきたんだと思います。
食べさせる時間には注意して、ですが。大きな気持ちの変化だと感じています。

それと、友達とのやりとりの中で、自然とアレルギーの有無も確認するようになりました。
ランチするお店選びのときには「好き嫌いとかアレルギーとかある?」と当たり前に聞いています。意外と大人でも実はアレルギーがあるという人はいるんですよね。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします。
アレルギーに対してあまり怖がらないでほしいと思います。
たとえば、卵を初めて食べさせるとき、耳かき1杯をあげるのだけでも悩んだりしちゃいますよね。
でも、もし何か症状が出たときに自分がどうしたらいいのかというのを知ったうえで、なんでも食べさせてあげてほしいです。
私が怖がり過ぎて、アメリカにいたせいもあってダメなものはすべて除去してしまっていたのでかわいそうだったなと反省しているからです。

今は「母としておいしいものに出会わせてあげたい」という考えで、アレルギーとも向き合っています。
近くのアレルギー科や相談できる小児科を探しておくとか、正しい情報をちゃんと得たうえで、楽しんで食べさせたらいいのではないかと思います。
やっぱり、一緒においしいものを食べたいですもんね!

◇◇取材を終えて◇◇
良子さんの言葉の端々にはママの愛が溢れていました。
良子さんのインスタグラム(@issyonitabeyo)のフォロワー数は2020年6月末時点で約600人。アカウント名の「一緒に食べよう」には、息子さんが家族や友達と一緒に楽しく、おいしく、安全に食卓を囲めるように、そして、アレルギーのない家族でもおいしく食べられるものを作っていきたいという思いが込められているそうです。
愛情たっぷりに食を楽しんでいるママの姿を垣間見ることができますので、ぜひチェックしてくださいね。
今後、良子さんの提案で企画された「アレルギーに関するオンラインお茶会」を開催予定です。