テーマは「テラリウム」 緑と水が迎えてくれる銭湯

住宅街の路地に、みどりの暖簾がひっそりとゆれている。
暖簾をくぐると、木の床と壁、植栽たちが迎えてくれる。
日常の慌ただしさを忘れ、水・緑・光の調和を感じる空間が板橋区南町にある。

クアパレス藤は、2017年12月にリニューアルオープンした銭湯だ。
もともとは「藤の湯」として60年以上、この町に寄り添ってきた。
2代目オーナーが受け継ぎ、店長と共に特徴を発展して展開した「テラリウム銭湯」。
植物や自然素材をあしらったナチュラルテイストの浴室は、「ただのお風呂」という概念をやさしく裏切ってくれる。

ロビーで一番存在感のある「アクアリウム」。熱帯魚が泳ぐ水景がロビーを彩る。
色とりどりの魚たちに子どもは夢中になり、大人はいつの間にか肩の力が抜けている。

「ゆっくり入ってほしい」という思いが、設計に宿っている

オーナーのこだわりは、一言でいえば「ゆっくり入れるお風呂」。
シンプルなのに、そのために考え抜かれた設計が、随所に光る。
地下水を沸かしたお湯は、深い井戸からくみ上げたもの。
ミネラル成分を含むナノ湯とともに、体の芯からじんわり温まる感覚がある。

女性が「もう少しいたい」と思える居心地の良さも、意識的につくられたものだ。
男性の湯船と高さを変え、足を伸ばしてリラックスできるよう設計された。

疲れやむくみが気になるなら、低温サウナへ。
女性用は70℃、男性用は100℃。ここも男女で差を出している。
外気浴スペースで空を見上げれば、ざわついていた気持ちが、すっと落ち着いていく。

子どもが社会を学ぶ場所、それが銭湯だった

「お父さんがお子さんを連れてくるケースが多いんですよ」とオーナーは話す。
子連れも歓迎で、ルールを守れる小学生なら1人でも入れる。
赤ちゃんや小さな子も、大人の付き添いがあればもちろんOK。
公衆浴場だから、さまざまな世代が同じ湯船に入る。
それが、実はとても大事なことだとオーナーは言う。

「色んな人がいるということを学ぶ場所なんです。大勢の人がいるからこそ空気を読むということを知る。
家でルールを守るところを教えてもらって、実際に覚えていく。
銭湯って、その第一歩になれる場所だと思っています」

平日の15時台はお年寄りが多く、ゆったりとした空気が漂う。
18時ごろになると子連れのファミリーが増え、賑やかに。

「子育て世代のお母さんたちが、子どもをお父さんに任せて、
早めにお風呂を済ませ少しビールを飲んで帰るとか。
お母さんたちが近所で少しリラックスできる空間になればいいな」
とオーナーは話す。

湯上がりに、一口ビールをいただく入浴後の楽しみも

クアパレス藤、人気の楽しみ方をオーナーが教えてくれた。

ナノ湯(低温の酸素を含んだシルキーなお風呂)
↓
ジャグジー(強力なジェットで疲労回復)
↓
露天風呂
↓
風呂上がりのビール

ロビーにはテーブルと椅子が置いてあり、湯上がり後のくつろぎスペースが設けられている。
露天風呂でひと息ついたあとロビーでリラックスするのも、常連たちのお気に入りのルーティンだ。
子どもも一緒に「乾杯!」できるのが、家族連れには嬉しいポイント。

季節ごとに変わる「イベント湯」も見逃せない。
りんご湯、しょうぶ湯、柚子湯、ラベンダー湯……
我が家の子どもたちは「今度は何が入っているかな」なんてイベント湯を楽しみにしている。

街の中にある、ちょうどいい非日常。
仕事の帰りに、子どもと一緒に、あるいはひとりで。
どんな人が来ても居心地よく——そんな思いが、このクアパレス藤の湯気の中に漂っている。

 

クアパレス藤

住所
板橋区南町39-10
電話番号
03-3959-1126
最寄り駅
東京メトロ有楽町線 千川駅より徒歩13分
営業時間
15:30〜24:00(日祝 14:00〜24:00)
定休日
水曜日・第1木曜日
https://1010itabashi.or.jp/facility/%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%97%A4/
料金
ナノ湯・露天風呂・ジャグジー・サウナ・水風呂
料金:大人550円 / 子ども200円 / 未就学児100円 / サウナ別料金300円
※手ぶらセットあり
駐車場
5台
駐輪場
25台