現役国際線CAでありながら、英語教師としても活躍中の荻原朱里さん。時差もある不規則な生活の中で、子育てにも奮闘中!それができるのはもちろん、周りの理解と協力があってこそ!
この記事では、誌面では伝えきれなかった周りを上手に巻き込むコツや、お仕事の裏話などをご紹介します。
目次
お願いの仕方にもコツがある♡今日から実践できるCA流コミュニケーション術
20年間のCA生活で培ったコミュニケーション能力は、英語教師としてはもちろん、家庭やコミュニティの中でも役立っていると言う朱里さん。
実は、元職場の同僚だった筆者から見た朱里さんは、いわゆるデキル人!
仕事ができると言われる人の共通点として、一人で抱え込まず、お願いの仕方が上手な人が多いと思いませんか?
朱里さんは、普段から周りに「ひとりでは子育てできません、助けてください!」という発信をしていて、3人のシッターさんの他、夫や親族、ご近所さんなど、たくさんの方に助けてもらっているそう。
そんな朱里さんの仕事ぶりや普段の会話の中には、周りが手助けしたくなるようなコミュニケーション法が散りばめられているんです♪
その1・・・「Iメッセージ」で伝える♡
例えば、「これやっておいて!」と「これやっておいてもらえると助かる♡」では、どちらが快くやってあげたくなりますか?
あなたが主語のYOUメッセージ(前者)と、私が主語のI メッセージ(後者)。
自分の主張で相手の行動を制限してしまうYOUメッセージに対して、Iメッセージはあくまでも決定権は相手にあります。
相手の状況にも配慮しながらI メッセージで伝えることで、すんなり受け入れてもらえたり、それが叶わなくても気持ちよく解決策を話し合うことができたり!ぜひ身につけたいスキルです。
朱里さんと話していると、「うれしい!」「ありがたい!」「勉強になる!」など、気持ちをプラスして伝えてくれることが本当に多いんです!
言いたいことはきちんと言うのに嫌味がないのは、きっとIメッセージが自然と染みついているからなんですね♪
その2・・・アサーティブコミュニケーション
最近は社員研修に取り入れる企業も増え、耳にする機会も増えた「アサーション」。
相手を思いやりながら、自分の意見を正直に伝えるコミュニケーションスキルです。
航空機内では、安全にかかわることは特に、相手が上司であっても躊躇なく指摘しなければなりません。
その時の伝え方によってお互いの関係性が崩れてしまわないよう、CA同士、普段からアサーションしあえる雰囲気づくりを心掛けています。
とは言え、私自身、一歩仕事を離れるとなかなか難しく…(汗)
例えば、夫に家事をお願いしたいのに「どうせ無理だろう」「面倒くさそうにされるかもしれない」だったら「頼むのも労力がいるし、自分でやってしまおう」とひとりで頑張っているママはいませんか?
逆に、余裕がなくて「これやってよ!」と強い口調で伝えることだってあるかもしれません。
できることなら、我慢しすぎることなく、自分の考えを押し通すのでもなく、自分も相手も大切にしながら適切な解決策を導き出すアサーティブなコミュニケーションが理想的ですよね。
そのためによく使われる手法として、
①事実を伝える
②気持ちや考えを伝える
③してほしいことを伝える
④結果に対する解決策を考える(DESC法)があります。
(ビジネスっぽい話になりそうなので詳しくは割愛しますが)この時にもI メッセージで伝えられたらいいですね♡
二刀流ママの子育て観
コミュニケーション法の知識はあっても、実際に行動に移すとなると、心と身体のエネルギーが満たされ余裕がなければ難しいですよね。
朱里さんの場合、普段から体を動かしたり、美味しいものを食べたり、自分で自分のご機嫌をとるのが上手
ママが陥りがちな“自分を犠牲にしすぎる子育て”からはほど遠く、子ども達の好きなアイドルの推し活や習い事も、子ども達と一緒に全力で楽しむ!少しでも時間ができれば、家族と旅行に出かけ思いっきり遊ぶ!
子育てで心掛けているのは、子どもと対等であること。「8歳のYちゃんと同じで、ママだってママとしてはまだ8歳」というスタンスで、本音でぶつかり合って喧嘩をすることもあるけど、その分隠し事をすることなく、正直に何でも話してくれるようになったと感じているんだそう。
怒られそうな時には先に「もしかしたらママを怒らせちゃうかもしれないけど…」と枕詞をつけて告白するあたり、さすがCAの娘さん!「お客さま、恐れ入りますが…」と制服姿のちびっこCAを想像しちゃいました♡
CAと英語教師のお仕事ここだけのはなし
世界中100以上の国と地域を訪れ、様々なお客様と接してきた朱里さん。
前社では、サッカー日本代表のフライトを担当するメンバーに選ばれ、大事な大会期間中、チームの快適な移動をサポートした経験も!
このような特別フライトを担当できるのは稀ですが、どの便にも配慮が必要なお客さまはご搭乗されます。
宗教上、健康上の理由などで特別機内食を召し上がる方、医療機器を持ち込まれる方、以前クレームやご意見をいただいた方など、全CAが情報を共有しておく必要があります。
さらに細かいところでは、(担当クラスにもよりますが)お客様のワインやお食事の好み、新聞の銘柄、上着をお預かりするタイミング、機内での過ごし方なども把握しています。
また、渡航先の情報や入国に必要な手続きの他、航路上の天候、サービスの手順、搭乗する飛行機内の非常用装備品、緊急時の対応など、フライト前の事前準備だけで2~3時間かかることもあります。
事前準備が重要な点は、英語教師にも共通しています。
朱里さんは、通常3人のネイティブ教員と一緒に授業を作り上げているため、授業内容やクラスごとのレベルに合わせた進め方など、意見をすり合わせながら準備します。
英語でのコミュニケーション面で、日々のフライトの経験が生かされていると感じるし、逆もまた然り。
ネイティブとの日々のやりとりが、CAとしての語学力や時事情報のアップデートにも役立っているんだとか。
無駄な学びはひとつもない 日本のキャリア教育への思い
複数の仕事に子育て、介護もこなすハードスケジュールの中でも、さらに上を目指す朱里さん。
将来的には、スクールキャリアカウンセラーとして生徒の人生の手助けができるように、資格取得を考えています。
これまでも、社会人大学生として、キャリア教育を学び直したり、ホームヘルパーや保育士の資格を取ったり、とにかく学ぶことが大好き!
全力で人生を楽しむ姿からは、中高生のキャリア教育にも携わる朱里さんだからこその思いも見えてきます。
「今の生徒を見ていると、将来の夢がない生徒が多いように感じる」そうで、「私たちの責任なのかもしれませんが、魅力的な大人を見れていないのかもしれない」と言います。
そういう意味では、朱里さんのように社会人経験のある先生が学校にいること自体が、キャリア教育になっているのでは⁉
特に朱里さんの場合は、昨日まで海外にいた先生が今日は英語を教えているという、生徒にとって刺激的で、視野を広げるきっかけにもなりそうですね!
キャリア教育が浸透すれば、学歴依存ではなく「これがやりたいからこの大学に行く」と目的を持った進路選択ができるのでは?と朱里さんは考えています。
「勉強も遊びも思いっきりやって、その経験がアイデンティティであり、キャリアへ繋がる。変化の激しい時代だからこそ、誰かが決めたレールを歩くのではなく、自らキャリアを考えてほしい」とも。
全国の学校で重視されてきているキャリア教育ですが、まだまだ浸透していない印象です。
社会に出て働く際に必要になるスキルは、学校教育だけで養うのは難しいのかもしれません。
そうなると、子ども達にいちばん近い大人である親の私達の責任は大きいです。
自分を後回しにして家族のために頑張りすぎて疲れ切っている大人と、上手く手抜きをしながら仕事も遊びも楽しむ大人なら、子ども達はどちらに憧れを抱くでしょうか?
やりがいをもって活き活きと働く魅力的な大人が増えれば、多くの子ども達が堂々と夢を語れる世の中になるのかもしれませんね☆
Profile
荻原朱里さん(2児のママ)
客室乗務員歴20年、訪れた国と地域は100以上!
コロナ禍を機に、淑徳中学高等学校の英語教師となり4年目。
社会経験や国際感覚を生かしてキャリア教育にも携わる